芦屋 不動産からののアドバイス
実際には「生物学的ポンプ」が作用して、かなり多量の二酸化炭素を深層へ運ぶので、海洋は多量の二酸化炭素を吸収しています。
海洋の表層では、プランクトンが、光合成により無機の炭素を吸収して有機物をつくっています。
そのプランクトンを食べた魚の排せつ物やプランクトンは、重いので徐々に海中の深いところまで沈みます。
これらは「マリンスノー」として知られているものです。
1951年に、日本最初の潜水艇「くるしお号」で、綿ごみのような粒子が多数海中を沈んでいくのが観察されました。
空気中で雪が降る様子に似ているので「海の雪」の意味を持つ「マリンスノー」という名前がつけられました。
深層に沈んだマリンスノーの有機物は、バクテリアの作用でふたたび無機の炭素に戻るので、深層では、表層に比べると無機炭素の量は多くなっています。
この状況は、観測の結果でも確かめられていて、表層に比べて20%以上も多い無機炭素が深層に存在しているのです。
このように、マリンスノーは濃度の低い表層から濃度の高い深層へ無機炭素を運んでいます。
マリンスノーの作用は、水を低いところから高いところへくみ上げるポンプと同じような生物学的ポンプは、表層の二酸化炭素のかなり多量を深層に運んでいます。
8世紀の産業革命以前の大気中の二酸化炭素量が、約280PPMであったことは前に述べましたが、もし生物学的ポンプが作用していなければ、大気中の二酸化炭素は恐らく450PPMという大きい値であったであろうと推定されています。
人為的な影響のない自然状態の場合では、生物学的ポンプの作用の下に、年間約20億トンの二酸化炭素が海に吸収されていると算定されています。
人為的な影響が加わったときに、この生物学的ポンプの作用がどのように変わるのか、重要な問題です。
飛躍的に増えるとは期待できない、という意見が大勢を占めています。
役割を果たしていますから、無機炭素が深層へ輸送される作用は「生物学的ポンプ」と呼ばれています。
大気中の二酸化炭素量を変化させる種々の要因について述べてきましたが、1980年代の状況は次のようにまとめることができます。
「化石燃料の燃焼による空気中への排出量が年間約54億トン」「森林破壊などの人間活動による排出が約16億トン」これらの人間活動を合計すると、人間活動による総排出量は約70億トンです。
「海水の吸収による除去分は約20億トン」と算定されていますので、差引約50億トンが大気中にたまることとなります。
観測データによると、「大気中の二酸化炭素量の実際の年間増加量は約34億トン」ですから、1方、「残りの約16億トンの行方が不明」ということになります。
行方不明の二酸化炭素は、化石燃料の消費により排出されている量の約30%に当たり、また、大気中の二酸化炭素濃度の年間増加量約1.8PPMの約半分に相当しています。
これほど多量の二酸化炭素の行方が不明でありますから、事は極めて重大です。
これが「行方不明の吸収源」の問題です。
第1章で述べたように、大気中の二酸化炭素の増加を抑制するために化石燃料の消費の制限を取り決めることが、国際的にも焦眉の急とされています。
「行方不明の吸収源」は、この燃料消費の制限に反対の口実に利用される心配があります。
そのためにも、「行方不明の吸収源」の捜査は緊急に解決すべき重要課題です。
二酸化炭素の行方の手掛かり世界の科学者は、この行方不明の吸収源を突き止めるべく、大気中の二酸化炭素の動向について、精力的に研究を進めてきました。
そのような研究の1つとして注目すべきものは、大気中の酸素量の観測データから、海水の二酸化炭素を吸収する量を推定する研究です。
1992年に発表された米国の全米大気研究センターのラルフ・キーリングらによる研究です。
彼は、1957年にハワイ島で二酸化炭素の組織的観測を始めたチャールズ.キーリングと同姓ですが、別人です。
酸素は空気の主な成分で約20%を占めていますが、ラルフ.キーリングらは、大気中の酸素量のごく微量な変化の観測に成功しました。
その結果、3年間の観測データから酸素量の季節変化が二酸化炭素とは逆になっていることが分かりました。
また、年々わずかながら減りつつあることも明らかになりましたが、ごく微小な減少ですから、われわれの呼吸が困難になるような心配はありません。
大気中の酸素量の変化は、二酸化炭素の変化と密接に関係しています。
化石燃料の燃焼や植物の腐敗によって二酸化炭素が増える際に、酸素は減ります。
また、二酸化炭素の消費される炭酸同化作用によって、酸素は増加します。
海水は大気の二酸化炭素の60倍以上を吸収することができますが、酸素については大気中の2〜3%しか吸収しません。
従って、海水の吸収は大気中の二酸化炭素量に大きく影響しますが、酸素については海水の影響を無視できます。
前に述べましたように、人為的影響のない場合には、生物圏と大気の間の二酸化炭素のやりとりは無視できるくらいにわずかです。
従って、人間活動による二酸化炭素の増加量から、大気中の酸素の減少量に対応する二酸化炭素の増加量を差し引いた残りは、海洋の吸収したものです。
キーリングらは、このように酸素の減少量の観測から、海水による二酸化炭素の吸収量を算定しました。
彼らの算定した海水の吸収量は、今まで考えられていた年間約20億トンよりもはるかに多量の約30億トンという値でした。
この値が正しいものと仮定しますと、不明だった二酸化炭素の行方の大部分が見つかったことになります。
わずか3年間分の観測データを用いただけなので算定値の誤差が大きく、正しい値は10億トンないし50億トンの範囲だろうと、キーリングらは述べています。
今後、酸素量の観測データが集積されると、海洋が二酸化炭素を吸収している量がもっと正確に知られることになると期待できます。
このように、キーリングらの研究は「行方不明の吸収源」の発見の有力な手掛かりを与えたものといえます。
1989年7月に、米国のマーシャル研究所から『温室効果問題に関する科学的見通し』と題する。
ヘージの報告書が発表されて、米国での地球温暖化問題の議論に1石を投じました。
太陽活動にともなって日射が強くなると地球の受け取る熱が増えますから、二酸化炭素の量が変わらなくても、地球は温暖化するはずです。
逆に、地球に降りそそぐ日射が弱くなると地球は寒冷化します。
従って、地球温暖化問題にとって、太陽活動の予測は欠かすことができません。
太陽活動の予測は、現在のところ、まだ充分に信頼できるものではありませんから、温暖化予測の不確かさの1因となっています。
マーシャル研究所はそれまで主に国防関係の技術評価を行なってきたシンクタンクです。
その名に冠されているジョージ.マーシャルは、第2次世界大戦中に米国陸軍参謀総長を務め、後にトルーマン大統領の下で国務長官の職について、戦後、欧州の経済復興援助のための「マーシャルプラン」を立案した人物です。
この研究所から出された『温室効果問題に関する科学的見通し』は、全米科学アカデミーのフレデリック.ザイッ元会長、航空宇宙局のゴダード宇宙研究所のロバート.ジャストロー元所長とカリフォルニア大学スクリップス海洋研究所のウイリアム.ニーレンバーグ名誉所長の3人が共同執筆したものです。
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